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hisomi a la mode

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はなび

国道沿いの空はそれほど暗くもなかった。
並んだ車のブレーキランプとポツポツと咲いた傘が見える。
次の瞬間、まるで夜空が息を吸い込んで吐く前、
辺りがなんとなく時間が止まったように静かになるのがわかった。

まず何本もの光が扇状に舞い上がって
遅れてきた音にさらわれて炭酸のように散った。

「競艇の花火」のはじまりだ。

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小さい頃の自分にとっては八木節祭りと並んで一大イベントだった。
車を降りて、近くまで歩いて行くことにした。
会場横にある沼の辺りに着くと雨足が先回りしたように忙しくなってきた。
雨宿りした木の下で、そういえばこの沼で昔、ライギョを釣ったなぁと思い出していると、
どこからか「焼き魚」の匂いが漂ってきた。おいおいなんだいなんだい何でも食べちゃうのかい?
幻臭かい?幻臭なのかい?と、半ば自分に呆れていると、ヨメが袖を引っ張って指を差した。
見ると隣には一升瓶をもったおじさん達が焼き魚持参で花火を観ていた。なるほど。
なんだか一気に昭和の風を感じて微笑ましいようなむず痒いような変な気持ちになった。
するとほんの数分の雨宿りも空しく雷鳴が轟く。連日の異常な土砂降りの再来だ。
堪らず車に逃げ帰り、車中から観ることにした。
それでも大きな山場を感じる間も無く、雨雲が邪魔をして花火が見えなくなった。
皆が続きを思ってボーッと眺めていた。雨は依然として降り続いている。
どうやら中断したまま中止になってしまったようだ。
夏の余韻を残したまま、予定よりも少し早めに終了となった。

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でもなんだか良い夜だった。

家に戻るとエアコンを付けたままだった。
ヨメの視線が刺さるのが分かった。
出かけに「エアコンは?」と聞かれて「切った」と答えたからだ。
それ以前に付けた記憶が全く無かっただけに、
付いているとも思えなかったからこその返答のはずであった。
しかし、エアコンは付いていた。
どうやら雷は室内でも落ちるようだ。

夏の余韻をのこしたまま。
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by hisomi-tnp | 2008-09-03 07:55 | タビユケバ
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