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hisomi a la mode

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日溜まりと落下傘

或天気の良い昼頃、この国の象徴である方の肖像画が五千円札に使用されることになったらしい。私のところへも回覧板で購入枚数を記載する用紙が廻ってきた。生憎持ち合わせが無かったものだから、「2」とだけ書いて次へ廻した。数日後のこと、直々にそのお方はこの高台にある町へいらっしゃって各家をそれこそ一軒一軒廻るらしく、町全体が何とも云い難いような緊張感に包まれていた。長くて真っ黒で高価そうな車が柵の向こう側にチラチラと見えて我が家の前で止まった。

「あなたは?」

「あ、二枚でお願いします。」

徐に取り出した大きな封筒に小分けにされた小さな封筒達が見えた。
皆そこそこ厚みのあるものだったものの、そこから私の分の二枚が入ったペラペラの封筒を引き抜いて、ニッコリと微笑んでこちらへ下さった。この五千円札には彼女の名前が書かれていて、町中が人生の記念にと買い勇んでいた。そうしてふわふわとした緊張感の余韻を残しながら次の家へと去って行かれた。

私は、そのまま二枚の五千円札が入った封筒を玄関に置いて、追いつきそうで追いつかない車をなんとなく追いかけて外に出かけた。

ふと、どこかから随分と慌てた声が聴こえてきた。

「おい! みろ!! あれなんだ?」

「なんだ?」 「MH−1だ!!!」

「MH-1!?」

私はその声にハッとしたと同時に例えようのない恐怖に震え出した。
MH-1とは過去にこの国に核爆弾が落とされたその直前に目撃されたという探査用無人小型飛行機のことだったからだ。直ぐさま私は上空を見上げると、灰色の本体部分に黒光りしたレンズが時折、乱反射すると確認できた。それは残念ながら疑いの余地もなく、あのMH-1だった。
すると間もなく他の誰かが、

「あっちにも何か落ちてくるぞ!!?」

「なんだあの落下傘は?」

私の震えはいよいよ止まらなくなって奥歯はガチガチという音を立て続けた。
皆が説明を受けるでもなく、直感的な確信が、視線の先の巨大な物体に向けられた。

「爆弾だ。」

落下傘の付いた黒くて巨大な物体が、嘲笑うように確実にその引力でこの町に近付いていた。
私は目の前にある光景がパノラマ式に焼き付くように飛び込んできたのがわかった。けれど換わりにあるはずの音という音が一切聴こえない「真っ白な音」を聴いていた。考えられる対処法が尽く潰されていくような現実に、「走る」という一点の行動しかできなかった。何か野生の特性なのか上から来るものに対して兎に角この坂を下ろうと走り続けた。途中、私と同じ職場で働いているが特に話したこともない男が黄色い軽自動車を奪って必死で逃げようとしていた。私は何故かそこに飛び乗ったが、お互いに言葉を交わすでもなく、只々、逃げるという行為に憑かれるようにして延々と長い坂道を下った。





という夢でした。


決まってこんなおかしな夢を見るのは「新月」です。
今回も後で調べたら新月でした。
あー恐ろしかった。


(このお話はもちろんフィクションです)
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by hisomi-tnp | 2009-04-28 08:20 |
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